MAKING PLANT-BASED POSSIBLE
~植物由来を可能に~

ハンネス氏との対談

フルーツを使ってファッションの改良に取り組むインベンター

畜産業が地球に悪影響を及ぼすことはよく知られています。レザーもそうです。動物虐待であることは言うまでもなく、水の大量消費、森林破壊、有毒化学物質、温室効果ガスの排出に結びついているからです。

世界が環境負荷を抑えた素材を受け入れる準備は整っています。ハンネス・パース氏は、植物を使用して従来のレザー製品に代わるサステナブルな代替品を作る新興企業Frumatの創設者で、受賞歴もあります。果物や野菜由来のファッションを促進するイノベーターたちは急増しており、その1人である彼はリンゴを使用しています。

Frumatはリンゴをジュースやジャムに加工する際の副産物ー具体的にはこれまでゴミとなっていた皮と芯を利用しています。ハンネス氏はこうした原料から、見かけも感触もレザーと遜色ない素材を開発しました。ブドウやニンジンやサトウキビ、クランベリーとあらゆる植物を試したハンネス氏のチームは、リンゴが技術的に最も高い成果をもたらすこと、また1年を通して入手可能という利点があることにも気づきました。

「私たちはこれらの材料を炎から救い出し、新しい命を与えます。」とハンネス氏は説明します。「再利用できるものを、なぜ燃やすのでしょう?」

Frumatが最初に製造した紙や段ボールは、ほどなく研究室でレザーのような素材に進化しました。
廃棄物のみから作られたこの素材はリサイクル可能であり、有害な化学物質を使わずに染色することができます。

トミー ヒルフィガーとしては、是非ともFrumatと提携して、新しい素材が私たちのサステナビリティをどのように変えることができるかを探りたいと考えていました。2018年、ハンネス氏はファッション・フォー・グッド・プログラムの加盟企業に選出されました。これは、トミー ヒルフィガーが、親会社であるPVHコープをはじめとするパートナー企業と連携して実施する、12週間のアクセラレータープログラムです。それ以降、私たちはハンネス氏たちのチームと協力を続け、2020年初頭に発売された、アッパー部分の24%がリサイクルされたリンゴ繊維で作られたアップルスキンスニーカーを開発しました。

「新しい素材を使う上で最も重要なことは、
その業界にとって有用なものを作り出し、
それからサステナブルな方法で実行する方法を考え出すことです」

2 CIRCLE ROUND(再生可能化の実現) - Apple skin

ハンネス氏は、素材のイノベーションを成功させるには、業界のニーズを理解することから始めなければならないと説明しています。パフォーマンス、実益、妥当性を優先しなければ、サステナブルという選択肢はあり得ません。「新しい素材を使う上で最も重要なことは、その業界にとって有用なものを作り出し、それからサステナブルに実行する方法を考え出すことです。なぜなら、産業用として使えなければ、新しくてサステナブルな素材であろうと捨てられるだけだからです。ファッション業界で使用可能であるには、たとえばスニーカー製造に適した機能を備えていることに加えて、美しくなければならないのです。」

巨大ビジネスに風穴を開けるのは難しいことかもしれませんが、トミー ヒルフィガーは、代替素材をいち早くそして大々的に受け入れているファッションブランドの1つです。これは、実験的なスタートアップ企業と、変化の扉を開くことができる巨大ブランドの融合です。ハンネス氏は言います。「現在、代替素材を創り出し使用しているスタートアップ企業や若いデザイナーたちが台頭してきています。その規模ゆえに動きが鈍くなりがちな巨大ブランドは、こうした小規模で実験的な組織から素早く学ぶことができます。製品を開発し、大がかりに工業化するには時間が必要であり、大手ブランドとの連携は私たちのような小規模な組織に、業界のニーズとサステナビリティの課題にどう適応するかを示してくれます。この2年間、特にこの半年、状況は急速に動き始めています。」

そして状況は、先を見据えて一つの方向に向かっています。消費者、特に若い世代に広がる新しい認識は、Frumatのような製品がほんの始まりに過ぎないことを感じさせます。ハンネス氏は言います。「将来的には、人々は素材がよりサステナブル、特により循環型になる方法についてますます考えていくでしょう。そして環境のためだけでなく、エシカルの面においても、人々は『誰が私の服を作ったのか?』を問うようになっています。新しい世代は透明性とトレーサビリティを求めています。ファッション業界はこの新しい世代に向けて、使用する素材やコミュニケーションの仕方を適応させていく必要があります。」

2 Circle Round - Apple skin - 2

トミー ヒルフィガー では、サステナブルループの一部となれる、完全に再生可能な製品を製造したいと考えています。1つの製品の寿命の終わりが新しい製品の始まりであるべきであり、私たちファッション業界には更なる努力が求められます。そのため、私たちが目指すCIRCLE ROUNDの第一歩は、服作りとその販売方法を変えることができる、独創的なイノベーションを見つけることを軸にしています。
トミー ヒルフィガーのアクションプランの詳細については、こちらをご覧ください。