MAKING BALANCE POSSIBLE
~共生を可能に~

ニコラス氏との対談

地球に優しいデニム製造の先駆者

デニムは世界で最も象徴的かつ広く愛されている生地の1つです。多くの人がお気に入りのジーンズを持っています。しかし、デニムの製造過程、つまり私たちが愛用するデニムが作られるまでに何が費やされているかは、あまり知られていないかもしれません。

従来のデニムの仕上げ加工では、物理的または化学的な手法で生地の風合いを変えています。これが環境には重い負荷となるのです。硬くて耐久性のあるデニム生地は、色や質感を変えるために集中的なウォッシュ加工が施されます。一般的なジーンズの製造には、大量の水(ジーンズ1着あたり70リットル)、エネルギー(ジーンズ1着あたり1.5kWh)、無害とは言いきれない化学薬品が使用されています。

ニコラス・プローフトは、デニムが環境に与える影響について誰よりも認識しています。ニコラス氏が副社長を務めるトミー ヒルフィガーの親会社PVHコープのデニムセンターは、品質を保ちつつ環境に優しい方法で、より速くデニムを製造するという新しいスタンダードをヨーロッパで確立するための中心的な存在です。ジーンズやデニムジャケットが愛されているからといって、地球にダメージを与えていいということにはなりません。そのために、ニコラス氏は、デニム業界における変革を望んでいるのです。

ニコラス氏は語ります。「私はデニム愛好家で、デニム業界が大好きです。しかし、地球環境には限界があることも知っています。私は業界全体の変革に携わり、新たな形を見出したいと考えています。業界トップの方々に参加いただき、私たちの取り組みが労働者そして環境にとって正しく確実に行われるようにしていきたいのです。」

「私はデニム愛好家で、デニム業界が大好きです。
しかし、地球環境には限界があることも知っています。
私は業界全体の変革に携わり、
新たな形を見出したいと考えています。」

2 Made For Life - Story 02 - Nicholas - Image 01 copy

PVHデニム センターは、既にサステナブルな加工を進めています。2019年春、トミージーンズは裁断台や工場の床に残されたコットンの切れ端、リサイクルされたペットボトルから作られた糸、そしてよりサステナブルなボタンを使用した最初の100%リサイクルジーンズを発売しました。また、デニムの環境負荷低減プロジェクトを立ち上げ、ジーノロジア社の環境影響測定ツール(EIM)を使い、デニム製品の仕上げに使用する水、エネルギー、化学薬品の量を測定しています。PVHデニムセンターは生地の選定や水のリサイクルなど製造工程を総合的に確認し、サプライチェーンにおけるイノベーションを推進してきました。その結果、わずか10リットルの水でジーンズを1着製造することができるようになりました。また、従来使用されていた多くの有害な化学薬品は、レーザーやよりサステナブルな化学薬品に置き換えられるようになりました。2019年、環境への負荷を低減しながら200万を超えるトミー ヒルフィガーのデニムが完成しました。

ニコラスとチームが作り上げてきた進歩は課題がなければ成し遂げられませんでした。「このプロセスの成熟度や進化度が低い加工所もあり、抵抗も見受けられます。しかし、PVHとしての私たちの役割は、明確なヴィジョンと非常に詳細な目標を示すことです。そうすることで、この取り組みに対する賛同が得られるからです。」

2 Made For Life - Story 02 - Nicholas - Image 02 copy

「若い世代の人たちにも同じ目的を持って参加してもらい、引き継いでいってもらいたいと考えています。この課題を成し遂げる道はまだまだ続いていきますが、変化は既に起こっていますし、一歩一歩、変化し続けていくでしょう。」

ウォッシュ加工に至る前の生地の作成においても、デニムをよりサステナブルにするための課題はまだ残っています。2019年、トミー ヒルフィガーはリサイクルコットンを少なくとも20%使用したデニムを60万着以上製造しました。しかし、ニコラスはこの比率を増やすことを決意しています。「紡績、製織、染色には多くの工程があり、様々な技術者が従事しています。こうした工程の改善には、これまでデニムの環境負荷低減プログラムで学んだことが活用できます。皆さんは業界の様々な領域の方々と連携し、それぞれの目標を打ち立て、進化を続けていくことでしょう。私たちは揺るぎない決意と明確なヴィジョンを持って、ものづくりの専門技術を持つ人々と協力し、築き上げていく必要があるのです。」

最も重要なのは、長期的な視点でデニム業界における真の変革を作り上げることです。遠い先の未来のヴィジョンに向かって進み続けなければなりません。そして現在起こしている小さな変化も止めてはならないのだとニコラスは語ります。「課題はたくさんあります。私は今何をやっていても十分ではないと感じています。若い世代の人たちにも同じ目的を持って参加してもらい、引き継いでいってもらいたいと考えています。この課題を成し遂げる道はまだまだ続いていきますが、変化は既に起こっていますし、一歩一歩、変化し続けていくでしょう。」

トミー ヒルフィガーでは、衣類は地球に配慮した方法で作られるべきだと考えられています。原材料の購入から製品の販売に至るまで、地球への影響をできる限り抑えたいのです。そこで私たちは温室効果ガスや廃棄物、水質汚染の削減に取り組み、地球に優しいファッションを創り出しています。
トミー ヒルフィガーの行動計画の詳細については、こちらをご覧ください。