MAKING INFINITE POSSIBLE
~永久持続性を可能に~

オマー氏との対談

未来を見据えるメーカーが作る、廃棄物ゼロを目指すジーンズ

私たちの多くが毎日着用しているジーンズ。しかし、それを作るために必要なものについては忘れられがちです。肉厚で丈夫なジーンズ1着には500グラム以上のコットンが使われており、それだけのコットンを生産するには膨大な土地と水が必要です。ファッション業界全体では、年間約9800万トンの資源を毎年消費しており、2050年までには、私たちが購入する衣類の量は3倍になると予測されています。その一方で、私たちはかつてないスピードで衣類を捨てるようになっています。

今こそ、そのループに終止符を打つ服が必要です。トミー ヒルフィガーでは、真新しい素材を消費する代わりに、使用済みの生地や廃棄される生地を埋立地から救い出し、何か新しくて美しいものを生み出す素材として使用したいと考えています。まずは、ワードローブの定番:ジーンズからスタートしました。

トミー ヒルフィガーチームは、エレン・マッカーサー財団の「ジーンズ・リデザイン」の仲間であるキパスのオマー・アクソイ氏と、彼が率いる革新的な繊維メーカーに協力を仰ぎました。彼らは、ジーンズの製造方法における廃棄や汚染、そして有害な手法などを改革するためのガイドラインを定めています。

キパスが目指すのは、ファッション業界の未来を見据えた生地を作ることです。「新しい生地を開発する際に、我々が何より重要視するのはサステナビリティです。」とオマー氏は言います。「我々は新しい糸や繊維だけでなく、同じヴィジョンや希望を共有するトミーのようなパートナーや顧客を常に探しているのです。」

それはなぜか?
 オマー氏の答えはこうです。「『私たちは地球を先祖から受け継いでいるわけではない。子どもたちから前借りしているのだ。』という有名な言葉によって私たちは気づかされました。私たちは生活のあらゆる面で自分たちが奪う以上のものを与えなければならないのです。リサイクル製品はバタフライ・エフェクト(ほんのわずかな変化が後に大きな変化をもたらす)を生み出します。使用される原材料が減れば、水とエネルギーの消費量も減ります。それはつまり、世界がより早く回復できることを意味します。」

「新しい生地を開発する際に、我々が何より重要視するのはサステナビリティです。我々は新しい糸や繊維だけでなく、
同じヴィジョンや希望を共有するトミーのようなパートナーや顧客を常に探しているのです。」

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リサイクルコットンは大いなる挑戦でした。サステナブルであるだけでなく、美しく機能的でなくてはならないからです。「私たちが作り出したリサイクル素材は、従来の生地と同じくらい強く、耐久性があり、魅力的でなくてはなりませんでした。」とオマー氏は説明します。「申し分のない見た目と着心地を実現する一方で、完全にサステナブルである必要があったのです。」

リサイクル生地の見た目と着心地を徹底的に向上させ、トミー ヒルフィガーとキパスは最初の100%リサイクルジーンズを作成しました。2019年春に発売されたジーンズは、裁断台や工場の床に残されたコットンの切れ端、リサイクルされたペットボトルから作られた糸、よりサステナブルなボタンのみで作られています。これはファッション業界にとって画期的な挑戦であり、トミー ヒルフィガーは工業規模で100%リサイクルコットンを使用した、最初のブランドとなりました。

コットンはほんの手始めに過ぎません。リサイクルされたポリエステルとダウンで作られたジャケットや、リサイクルされたナイロン製の服も発売されています。

2020年春、トミー ジーンズのデニムにストレッチバージョンも登場しました。私たちの目標は、各生地の新たなバリエーションを開発し続け、より多くのスタイルに使用できるようにすることです。同時に、より効果的な循環のループをつなげるために、ポスト・コンシューマー・リサイクルの量を増やすことを目指しています。

一方、キパスの生産施設は今後も前進し続けます。2020年末までには、全社のエネルギー需要を満たすソーラーパネルを、全てのオフィスと工場に取り付ける予定です。

オマー氏は、この仕事が大きな変化への第一歩だと信じています。「真のサステナビリティ革命は目前に迫っています。サステナビリティを実践するトミー ヒルフィガーやキパスのような組織は間もなく特別な存在ではなくなり、スタンダードになるでしょう。しかし、システム全体を一気に変更することは容易ではありません。しかも迅速に行われなければならないのです。そのため、どうすればサステナブルな生産モデルが可能であるかを実証できる、トミー ヒルフィガーのような先駆的なブランドが必要です。そうすれば、他のブランドも追随するでしょう。」

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トミー ヒルフィガー では、サステナブルループの一部となれる、完全に再生可能な製品を製造したいと考えています。1つの製品の寿命の終わりが新しい製品の始まりであるべきであり、私たちファッション業界には更なる努力が求められます。そのため、私たちが目指すCIRCLE ROUNDの第一歩は、服作りとその販売方法を変えることができる、独創的なイノベーションを見つけることを軸にしています。
トミー ヒルフィガーのアクションプランの詳細については、こちらをご覧ください。